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TheWell Bioscience社と同社の技術・製品

2021年5月24日
本コーナーでは、アズワン(株)が販売している商品について、コンセプトや技術的な背景を中心に、できるだけ分かり易く説明したいと考えています。第9回は、最近販売を始めた TheWell Bioscience 社の商品を紹介します。

    TheWell Bioscience 社はどのような会社ですか?

  • 2015年に設立された、米国ニュージャージー州ノースブランズウィックにあるバイオベンチャー企業です。細胞の3D 培養に用いる細胞外マトリクス(商品名:VitroGel)の開発、販売を行っています。

細胞外マトリクスとはどういったものですか?

  • 細胞外マトリクス(ECM: ExtraCellular Matrix)は、生体組織中の細胞以外を構成するものであり、繊維状タンパク質(コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン等)や複合糖質であるプロテオグリカンよりできています。細胞増殖の足場(スキャフォルド)になるだけではなく、組織の形態形成や細胞分化にも関与しており、細胞の3D培養を行うには必須のものです。
  • 3D培養用途の細胞外マトリクスとして、コーニング社の細胞外マトリクス(商品名:Matrigel Matrix マトリゲル)が良く用いられています。マトリゲルは、Engelbreth-Holm-Swarm(EHS) マウス肉腫から抽出した天然の細胞外マトリクスです。

VitroGelについて教えてください。

  • VitroGelは、動物由来の成分を含まない、合成多糖ポリマーを主成分とした、Chemically defined(組成成分が化学的に明確) な人工の細胞外マトリクスです。合成多糖ポリマーが、細胞とフィブロネクチンの結合部位であるRGDペプチドや、コラーゲン及びラミニンとの結合部位のペプチドで修飾されています。
  • 下図は、VitroGel の原理を表したものです。VitroGel は、細胞培養液に含まれるCa2+ や Na+ イオンと反応してゲル化します。 VitroGel を細胞培養液と混ぜると、ゆっくりとゲル化し、細胞が分散した粘性の低い柔らかなゲルができます。この段階でゲルを動物に注入することも可能です。
  • 柔らかなゲルの上に、更に培養液を加えると、Ca2+ や Na+ イオン濃度が高まり、固いゲルになり3D培養が可能になります。これにより、スフェロイドやオルガノイドを調製することができます。

VitroGel にはどのような商品がありますか?

  • VitroGel には、大きく分けて2種類の商品群があります。ひとつはRedy-To-Use な商品群、もうひとつは、使用者が自分でハイドロゲルの組成や濃度を調整できる商品群です。
  • Ready-To-Use な商品群には、VitroGel STEM、VitroGel ORGANOID、VitroGel MSC、VitroGel HEK293 があります。 それぞれ、幹細胞、オルガノイド、間葉系幹細胞、HEK293細胞の3D培養に至適化されたハイドロゲルです。幅広い種類の細胞の3D培養に使用できる VitroGel Hydrogel Matrix もあります。
  • 自分でハイドロゲルの組成や硬さを調整できる商品群には、VitroGel 3D、VitroGel RGD、VitroGel COL、VitroGel IKVAV、VitroGel YIGSR、VitroGel MMPがあります。VitroGel RGD はフィブロネクチンの細胞との結合部位ペプチド、VitroGel COL はコラーゲン、VitroGel IKAV 及び VitroGel YIGSR はラミニンの結合部位ペプチドで修飾されたハイドロゲルです。VitroGel MMP は、MMP(マトリクスメタロプロテアーゼ)感受性ペプチドで修飾されたハイドロゲルであり、癌細胞の転移や血管新生モデル構築等に適しています。いずれも高濃度になっており、添付されている VitroGel Dilution Solution を用いてゲルの硬さを調整することが可能です。また下図に示すように、異なるペプチドで修飾されたVitroGel を組み合わせて使用することもできます。

VitroGel を用いて3D培養した細胞を回収することはできますか?

  • 別売されている VitroGel Cell Recovery Solution を用いて、約20分でスフェロイドやオルガノイドを回収することができます(下図参照)。化学処理や酵素処理を行わずに、常温で回収することができます。

新商品である VitroINK について教えてください。

  • 3Dバイオプリンターを用いて、積層法により組織様構造体をつくる試みが始まっています。VitroGel は、3Dバイオプリンターのインク材料としても使用することができます。UV、薬剤での架橋や熱硬化を行わずに組織様構造体をつくることができます(下図参照)。
  • VitroINK 3D、VitroINK RGD の品揃えがあります。VitroINK Mixing Kit が含まれたStarter Kitもそれぞれ用意されています。VitroINK Mixing Kit の使用方法については、TheWell Bioscience 社のウェブサイトで、ビデオプロトコールが公開されています(itroINK Mixing Kit Demonstration | TheWell Bioscience)。

FAQ、アプリケーションノート、使用文献、プロトコールはありますか?

  • TheWell Bioscience 社のウェブサイトの Resource 欄で見ることができます。21個のビデオプロトコールも公開されています(Video Protocols | TheWell Bioscience)。
ライター:AS ONE International Inc.の技術アドバイザー
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