ソフトウェア・ハードウェアの選び方
計算化学、何から始める?
目的に合ったソフトと
計算機の選び方とは
計算化学を始める際には、目的にあったソフトウェアとハードウェアの選択が何よりも大切です。目的にあった物を選ぶには、機能やスペックや性能で見落としてはならない重要ポイントがあります。今回は、研究開発にシミュレーションを導入しようとしている方におすすめのソフトウェア・ハードウェアの選び方をわかりやすく解説いたします。
計算化学を行う際の基礎知識やメリットに関しては、こちらの記事も参照ください。
最適なソフトウェア×最適なハードウェアを選ぶには?
計算化学を行うためのソフトウェアとハードウェアには様々なものがあります。そして、その組み合わせが重要です。
行いたい計算を効率よく進めるには、用いる計算手法(ソフトウェア)と、その計算を実行するハードウェア側に求められるスペックを知っておく必要があります。例えば、計算量が大きい場合は、CPUやメモリといったハードウェアをより高速で大容量なもので構成する必要があります。もし、それらのハードウェアが強化されないまま計算量が大きいソフトを実行した場合、得られる計算結果は同じでも、より長時間かかることになります。他にも、簡易的なソフトウェアや、多すぎる機能を持ったソフトウェアを用いると作業が煩雑になり、仕事効率の低下の原因になります。
仕事を効率よく進めるには、最適なソフトウェア、ハードウェアを選ぶ事が何よりも大切です。今回は、選ぶポイントの基本を中心に紹介いたします。(お客様の要望に合わせたベンチマークテストを行うサービスもあります。)
ソフトウェアは材料や現象のスケールから選びましょう
材料や現象のスケールと計算手法には密接な関係があります。それぞれの研究対象に対して、欲しい結果を得るのに用いるべき計算過程の種類が異なります。具体的には、光デバイスを例にすると、原子と電子の軌道計算や励起と言った電子状態の数値が現象をよく再現します。そのため、電子状態を扱える量子化学シミュレーションや固体物理シミュレーションのソフトウェアが主に使用されるのです。
創薬に関しては、薬の候補化合物が体内に吸収されてタンパク質と結合する過程を含め、様々な計算スケールのシミュレーションを用います。研究対象の現象が、一種類の分野の計算で求められるものなのか、複雑にいくつもの方法の計算を用いる必要があるのか、それを区切る分類が時間スケールと空間スケールという観点です。
ハードウェアは「大は小を兼ね」ますが、技法に合わせて賢く選定しましょう
CPUは、コンピュータの一番重要な部分で、計算スピードを左右する主な部品です。CPUが最新で多くのコアを搭載し高い周波数であるほど、大量の計算を短時間で処理することができます。
メモリは、計算するデータや計算結果等を一時的に保持するコンピュータの部品で、CPUで求めた数値を保持する場所です。シミュレーションの場合は、一回の式や計算で求めたいものを導くのではありません。複数の式を使用するとき、求めた途中の数値を使用して計算を行います。そのため、CPUだけ高スペックにしてもメモリが足りなければ計算スピードは遅くなります。
HDD(ハードディスク)は、計算結果を最終的に保存する部品です。高精度なシミュレーションに行ったり、計算を何回も行っていくことを考えると、保存できるHDDの容量の大きいほうが有利です。外付けのHDDで代用できる場合もありますが、コンピュータの中にデータが無いとスムーズに開けないこともあるので注意が必要です。
ネットワークは、インターネットに繋いで、ソフトウェア使用のヘルプを検索する場合に便利です。また、ネット通信を使用できると計算過程等の印刷や出力ができて便利です。
量子化学シミュレーションのソフトウェアとハードウェア
量子化学分野でソフトウェアを探すなら、Gaussianが一番おすすめです。Gaussianをおすすめする理由は、その計算速度が速いこと、そして可視化ソフトのGaussViewが手軽に使えることです。加えて世界的に広く利用されており、量子化学研究者が求める計算機能の多くが含まれているからです。
他に有名なソフトに、プログラム構造が簡単で基礎理論開発向きのGAMESS、高精度の電子相関計算や励起状態の計算に特化しているMolpro、RI-MP2に対応し反応経路の探索にNEB(Nudged Elastic Band)法が利用できるNWChemがあります。
これらのソフトを動かすための最適なハードウェア構成は、想定する計算手法に合わせて選択することが大切ですが、ほとんどの計算ではCPU性能を重視した構成がおすすめです。さらに、より高精度な計算を実施したい場合は、メモリとHDDも増強した物を選ぶのがベストです。
分子動力学シミュレーションのソフトウェアとハードウェア
分子動力学シミュレーションのソフトウェアには様々なものがあり、計算すべき過程に化学反応を伴うかどうかによって変わってきます。化学反応を伴わない場合に利用できる古典分子動力学シミュレーション、伴う場合に利用できる量子分子動力学シミュレーションがあります。
(詳細 https://www.hpc.co.jp/chem/library/c_select_software/ )
分子動力学のソフトウェアは一般に大きなメモリを使用しないため、CPUを重視したハードウェアを選ぶことが大切です。また、大きなトラジェクトリデータが出力されるため、大容量のHDDも必要となります。
まとめ
今回は研究目的に適したソフトウェアとハードウェアを選ぶポイントを紹介しました。
より詳細に計算機選定を行いたい場合には、是非ご相談ください。


