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Molecular Instruments社と同社の技術・製品

2021年12月20日
本コーナーでは、アズワン(株)が販売している商品について、コンセプトや技術的な背景を中心に、できるだけ分かり易く説明したいと考えています。第11回は、最近販売を始めたMolecular Instruments 社の商品について紹介します。

    Molecular Instruments 社はどのような会社ですか?

  • 2018年に設立された、米国カリフォルニア州ロサンゼルスにあるバイオベンチャー企業です。
  • カリフォルニア工科大学の Niles A. Pierce 教授らが開発した、Hybridization Chain Reaction(HCR)技術を用いた、RNA fluorescence in situ hybridization (RNA-FISH)に用いる試薬等の開発や販売を行っています。

RNA fluorescence in situ hybridization について教えてください。

  • RNA fluorescence in situ hybridization(RNA-FISH)は、細胞や組織中のmRNA分子の局在を、蛍光色素標識核酸プローブを用いて調べる方法です。波長の異なる蛍光色素標識核酸プローブを用いれば、複数種のmRNAの局在を一度に調べることができます。
  • in situ hybridization では、ヘテロな細胞の集合体である組織や細胞内でのmRNAの局在を調べることができます。更に1分子のmRNAの局在を調べることができるsm-FISH(Single molecule FISH)技術も開発されています。
  • sm-FISHでは、1種類のmRNAあたり40-50個の蛍光標識オリゴDNAプローブを用いて、1分子のmRNAを検出します。最近になり、分岐鎖プローブを利用する bDNA FISH(branched DNA FISH)技術や、酵素を用いたRolling circle amplification(RCA)を利用する RollFISH 技術といった、検出感度が向上した技術も開発されています。Molecular Instruments 社では、Hybridization Chain Reaction(HCR)技術により検出感度を向上させています。

Hybridization Chain Reaction技術について教えてください。

  • Hybridization Chain Reaction は、2つのヘアピンDNA(h1 及びh2) を用いて、酵素を用いずに等温でDNAを増幅する技術です。ヘアピンDNA(72塩基対)は、足場(a またはc)、ステム(b及びb*)、ループ (c*またはa*) からなり、通常はヘアピン構造(ステムループ構造)をとっています(図1参照)。aとa*、bとb*、cとc* は、それぞれ相補的な配列になっています。イニシエーターと呼ばれる、a*b* からなる一本鎖DNAがそこに加わると、ヘアピンDNA (h1) のステムループ構造は開裂し、イニシエーターがabにハイブリします。次に、ステムループ構造の開裂により生じたC*b* がイニシエーターになり、ヘアピンDNA(h2)のステムループ構造を開裂し、cbにハイブリします。この反応が繰り返されることにより、10kb以上の2本鎖DNA鎖が形成されます。3’末端を蛍光色素で標識したヘアピンDNA(h1及びh2)を用いれば、蛍光強度が増幅され、検出感度が向上します。
  • HCRでは、検出するmRNA に相補的な配列を持ち、隣接する2つのオリゴヌクレオチドプローブからなるSplit-Initiator Probeセットを用います。オリゴヌクレオチドプローブの標的mRNAにハイブリしない3’末端及び5’末端をa* 及びb* 配列(i1)とすれば、HCRのイニシエーターになります(図2参照)。Split-Initiator Probeセットを用いると、同プローブセットがハイブリした領域のところだけに、長鎖のDNAが形成されます(図3参照)。

  • 図1 ヘアピンDNAの構造

    図2 Split-Initiator Probeセット

    図3 HCR initiatorとヘアピンDNAの結合

複数種のmRNA の局在を同時に調べることはできますか?

  • DNA配列と蛍光色素の組合せを変更したヘアピンDNAを用いれば、複数種のmRNAの局在を一度に調べることができます。
  • Molecular Instruments 社では、DNA配列の異なる5種類のヘアピンDNA(HCR Amplifier、B1~B5)について、それぞれ5種類の異なる蛍光色素 (Alexa 647、594、546、514、488) で標識したヘアピンDNAを品揃えしています。他のAlexa蛍光色素やCyanine5.5及び7 標識ヘアピンDNA については、受託サービスにより合成し、提供しています。

HCRでRNA fluorescence in situ hybridization を行うのに、どのくらいの時間がかかりますか?

  • Molecular Instruments 社では、Split-Initiator Probe Setの標的mRNAとのハイブリダイゼーションをオーバーナイト(16時間)で行うプロトコールを推奨しています。翌日洗浄によりフリーのプローブを除去後、HCR Ampllifier(蛍光標識済ヘアピンDNA) による増幅反応を、45-90分間(digital HCR)または16時間(quantitative HCR)行い、洗浄後、蛍光顕微鏡での観察を行います。

局在を調べたい遺伝子のmRNAに対するSplit-Initiator Probeセット の品揃えはありますか?

  • Molecular Instruments 社では120種の生物の約5,000種の遺伝子に対するプローブセットの品揃えがあります。当社AXELサイトには、代表的な5種(Chicken、Fly、Zebrafish、Mouse、Human)のプローブを掲載しています。
    https://axel.as-1.co.jp/asone/maker/MH12659/ 掲載のない遺伝子についても、商品リストにある商品と同じ価格で、設計、合成し、販売していますので、必要な方はご相談ください。
  • Split-Initiator Probeセットは、ひとつの遺伝子の異なるところにハイブリダイズする、20セットのSplit-Initiator Probe(2個のプローブセット)からなります。

実施例や参考文献はありますか?

製品外観

ライター:AS ONE International Inc.の技術アドバイザー

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