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Antibodies Incorporated社と同社の技術・製品

2020年11月16日
本コーナーでは、アズワン(株)が取扱っている商品について、コンセプトや技術的な背景を中心に、できるだけ分かり易く説明したいと考えています。第4回は、Antibodies Incorporated社のNeuroMab抗体を中心に紹介します。

    Antibodies Incorporated社はどんな会社ですか?

  • 1962年に Jim Hillman が妻のCarol と米国カリフォルニア州のデービスで創業した、ライフサイエンス研究用抗体の製造・販売を行う老舗企業です。同社は、カリフォルニア大学デービス校(U.C. Davis )から車で20分くらいのところにあり、 Antibodies by Scientists for Scientists を社是として事業を行っています。
  • Jim はライフサイエンス研究で用いられる抗体開発のパイオニアのひとりです。ミネソタ大学で博士号を取得後、U.C. Davis にて、免疫化学研究のパイオニアであるカリフォルニア工科大学Dan Campbell教授のもとでポスドクを経験した後に、同社を創業しました。
  • 同社は、ISO13485品質マネジメントシステムの認証を受け、cGMP(current Good Manufacturing Practice: 現行医薬品適正製造基準)、cGLP(current Good Laboratory Practice)に準拠した製造や臨床試験を行っています。

NeuroMab 抗体とはどのような抗体ですか?

  • 抗体は、現在のライフサイエンス研究には必須の実験ツールとなっており、抗体の性能が実験結果を左右することは良くあります。性能の不確かな抗体が数多く流通している現状を憂慮し、2005年にNIHが資金を提供し、U. C. Davis のJames S. Trimmer  教授らによって、U. C. Davis 構内に、UC Davis/NIH NeuroMab施設(NeuroMab)が設置されました。同施設で吟味して製造されたマウスモノクローナル抗体のコレクションの中から、哺乳類の脳研究に使用できることが確認された抗体がNeuroMab抗体です。NeuroMab抗体を産生する473種類のハイブリドーマは、非営利組織である Mutant Mouse Resource & Research Center (MMRRC) から有償で頒布されています。下記ウェブサイトを参照ください。
    https://www.mmrrc.org/catalog/StrainCatalogSearchForm.php?search_query=NeuroMab
  • Antibodies Incorporated 社は、頒布されたハイブリドーマを用いてモノクローナル抗体を製造し、NeuroMabが確立した性能評価試験を行い、合格したものをNeuroMab抗体として販売しています。
  • Antibodies Incorporated 社では、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清及び精製したモノクローナル抗体の2種類の形態で販売しています。培養上清の方が価格は安く、高濃度の抗体が必要でないウェスタンブロットや免疫染色に用いることができます。

NeuroMab 抗体は、どのような性能評価試験を行っているのでしょうか?

  • 哺乳動物の脳組織や細胞を用いて、免疫細胞染色(ICC)、免疫蛍光染色(IF)、イムノブロット(ImmunoBlot)、免疫組織染色(IHC)等で性能評価試験を行っています。53種類の抗体については、連続切片SEM法(Array Tomography法)に適用可能なことが確認されています。評価結試験結果は、NeuroMab のウェブサイトで公開されています。抗体ごとに抗原や、性能評価試験結果を表した商品仕様書もPDF で添付されています。必要であれば購入前に商品仕様書PDFを確認ください(下図は商品仕様書の一例)。
    http://neuromab.ucdavis.edu/neuromabs.cfm

NeuroMab抗体を用いた論文はありますか?

  • NeuroMab抗体を用いたピアレビューされた論文は、既に3305報(2020年9月現在)に達しています。その論文リストもウェブサイトで公開されています。下記ウェブサイトを参照ください。
    http://neuromab.ucdavis.edu/publications.cfm

NeuroMab 抗体の遺伝子配列は明らかになっていますか?

  • 492種類のNeuroMab抗体の軽鎖、重鎖の可変領域の遺伝子配列は決定されており、すべて公開されています。下記ウェブサイトを参照ください。
    https://neuromabseq.ucdavis.edu/new_entry/257/

NeuroMab 抗体の遺伝子を入手することはできますか?

  • ハイブリドーマを安定して維持することは難しいことから、NeuroMab では、NeuroMab抗体の軽鎖、重鎖の可変領域の遺伝子をマウスモノクローナル抗体の定常 領域(サブクラスIgG2)と連結した、動物細胞での発現プラスミド構築を行っています。同発現プラスミドには、大腸菌の複製開始点や薬剤耐性遺伝子も挿入されており、大腸菌での複製も可能です。発現プラスミド構築については、下記の文献を参照ください。
    Andrews et al., eLife 8:e43322. PubMed
  • 現在136種類の発現プラスミドが、非営利組織であるAddgene から有償で頒布されています。下記ウェブサイトを参照ください(下図はプラスミドマップの一例)。
    https://www.addgene.org/James_Trimmer/
  • ラクダやサメの一本鎖抗体由来のナノボディーが新たなライフサイエンス研究ツールとして注目されています。NeuroMab では、ラクダを免疫し、ファージディスプレイの手法で、ナノボディー発現プラスミドを構築しています。ナノボディー発現プラスミドの構築については、下記の文献を参照ください。
    Dong et al., eLife 8:e48750. PubMed
  • 現在、28種類のナノボディー発現プラスミドが、同じく非営利組織であるAddgene から有償で頒布されています。下記ウェブサイトを参照ください。
    https://www.addgene.org/James_Trimmer/

Antibodies Incorporated社は、NeuroMab 抗体以外の抗体も販売していますか?

  • Antibodies Incorporated社は、Human、Rat、Mouse、Hamster、Rabbitなど多種類の動物の抗体に対する2次抗体、41 種類の製造・販売を行っています。
  • Antibodies Incorporated社は、コロラド州でライフサイエンス研究用抗体の製造・販売事業を実施しているAVES社及びPhosphoSolutions社を買収し、両社の商品の販売も可能になっています。AVES社は、ニワトリのポリクローナル抗体の製造・販売事業を実施しており、44種類の品揃えがあります。PhosphoSolutions社は、タンパク質のリン酸化の研究に用いられる抗体の製造・販売事業を実施しており、350種類の品揃えがあります。
ライター:AS ONE International Inc.の技術アドバイザー
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