HOME インキュベーターの選び方
インキュベーターの選び方
研究や実験の成功は、適切な環境を整えることから始まります。中でも、温度管理が不可欠な場面では、インキュベーターの役割は非常に重要です。しかし、クールタイプ、ホットタイプ、そして様々な付加機能を持つ機種の中から、自身の研究目的や設置環境に適した一台を見つけ出すのは容易ではありません。この記事では、「インキュベーター 選び方」でお悩みの方に向けて、インキュベーターの種類、選定のポイント、そして具体的な製品例を分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの研究を支える適したインキュベーターを見つけるための確かな知識が得られるはずです。
インキュベーターの種類と主な機能
本記事で扱うインキュベーターは、主に「クールインキュベーター」と「カルチャーインキュベーター(ホットタイプ)」に分けて解説します。このセクションでは、それぞれの基本的な特徴と機能について解説します。
クールインキュベーターの特徴
クールインキュベーターは、加熱機能に加えて冷却機能も備えている点が最大の特徴です。これにより、室温より低い温度から比較的高温まで、幅広い温度範囲(製品例では3~45℃程度)での温度管理が可能になります。製品によってはペルチェ素子が冷却・加熱装置として採用されており、これによって静音性やコンパクト設計に配慮された機種もあります。また、サンプルの乾燥を防ぐための構造や、振動が少ない環境での培養・保管に適した機種もあるため、食品衛生検査、各種培養、タンパク質の結晶化といったデリケートな実験に多く用いられます。扉に鍵付き・二重構造が採用されているものや、庫内に温度センサーなどのケーブルを通せるケーブル孔を備えたものもあります。カルチャーインキュベーター(ホットタイプ)の特徴
カルチャーインキュベーター、またはホットタイプインキュベーターは、主に加熱機能に特化しています。室温よりも高い温度、例えば室温+5℃から45℃程度の温度設定が可能で、主にヒーターを加熱装置として使用します。庫内の空気を自然に対流させる自然対流方式を採用していることが多く、これにより庫内温度分布の安定化に寄与し、安定した温度環境を提供します。操作が比較的シンプルで扱いやすい機種が多く、衛生検査や細菌検査、一般的な微生物培養など、加熱による一定温度での培養が必要な用途に適しています。
インキュベーター選定のポイント
インキュベーターを選定する際には、培養・保管するサンプルや微生物の種類、設置環境、研究目的など、様々な要因を考慮する必要があります。このセクションでは、最適な機種を選ぶための主要な選定ポイントを詳細に解説します。
温度条件の確認
インキュベーターを選ぶ上で最も重要なのが、必要な温度条件の確認です。培養・保管したいサンプルや微生物の種類によって、最適な温度範囲は大きく異なります。低温での保管や培養が必要な場合はクールインキュベーターが適しており、室温より高い一定の温度での加熱培養が主であればカルチャーインキュベーター(ホットタイプ)が適しています。また、設定温度の精度や、1℃単位など細かく温度設定ができるかどうかも、実験の再現性の確保に寄与する重要なポイントとなります。庫内環境の重要性
庫内環境も、培養結果に大きな影響を与えます。特に、振動に敏感な細胞やサンプルの培養、あるいはサンプルの乾燥を防ぎたい場合には、自然対流方式の機種が適しています。自然対流方式は、庫内温度分布に配慮しつつ、ファンによる振動や乾燥のリスクを低減します。また、庫内に温度センサーなどの測定ケーブルを通す必要があるかどうかも確認しましょう。ケーブル孔の有無は、庫内の詳細な温度変化を記録する際に非常に役立ちます。容量と設置サイズ
インキュベーターの容量は、一度に処理したいサンプルの量によって決まります。収納したいシャーレの枚数やフラスコのサイズを考慮し、適切な内容量を持つ機種を選びましょう。同時に、設置予定のスペースに収まる外寸法であるかどうかの確認も不可欠です。コンパクトな機種であれば、狭い実験台や限られたスペースにも設置しやすく、場合によっては別の実験室への持ち運びも可能になるため、柔軟な運用が期待できます。必要な付加機能
研究目的によっては、特定の付加機能が重要となる場合があります。例えば、複数の温度プロファイルを自動で実行したい場合はプログラム機能、特定の時間だけ作動させたい場合はタイマー機能が便利です。また、貴重なサンプルを保管する場合には、鍵付き扉でセキュリティを確保することも重要です。庫内に外部機器のケーブルを通す必要がある場合は、ケーブル孔の有無も確認すべきポイントとなります。これらの機能は、研究の効率性や安全性に寄与します。用途とのマッチング
インキュベーターの選定は、具体的な用途とのマッチングが非常に重要です。例えば、食品衛生検査や細菌検査には、主に一定温度での加熱培養が可能なカルチャーインキュベーターが用いられます。一方、各種培養やタンパク質の結晶化、低温域での保管・培養が必要な場合には、幅広い温度に対応できるクールインキュベーターが適しています。自身の研究目的を明確にし、それに合致した温度範囲、庫内環境、付加機能を持つインキュベーターを選ぶことが、研究の成功への第一歩となります。AXEL掲載製品の選定表と解説
ここでは、実際にアズワンのAXELに掲載されているインキュベーターの中から、代表的な製品を選定表としてまとめました。クールタイプとホットタイプ、それぞれの特徴を持つ製品を比較しながら、自身の研究目的に適した一台を見つけるための参考にしてください。
横にスクロールできます
| 選定項目 | 2-926-21 | 1-8963-01 | 64-3679-40 | 1-6684-01 | 3-7056-01 |
| 画像 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 商品名 | クールインキュベーター i-CUBE(HOT&COOL) 測定孔無し FCI-280G | クールインキュベーター CN-40A | P-BOX(小型インキュベーター) 本体縦置き 00156 | クールインキュベーター 3~45℃ CN-25C | アイキューブ カルチャーインキュベーター 高精度ホットタイプ FI-280 |
| タイプ | クールインキュベーター | P-BOX(小型インキュベーター) | クールインキュベーター | カルチャーインキュベーター | |
| 構造 | 測定孔無し 自然対流方式(5面冷却・加熱) |
扉は鍵付き・二重 内側は透明樹脂扉 |
本体縦置き 縦置き用棚板1枚付 |
自然対流方式(5面) | 高精度ホットタイプ 自然対流方式(5面加熱) |
| 温度条件・加熱冷却 | 温度設定範囲:3~45℃ 設定温度:1℃単位 冷却加熱装置:ペルチェ素子 |
温度設定範囲:3~45℃まで1℃単位(周囲温度0~30℃) 冷却・加温装置:ペルチェ素子モジュール プログラム機能付き ケーブル孔あり |
温度調節が簡単 ヒーターのON/OFFをパイロットランプで確認 手動復帰型サーモスタットによる過熱防止機能 |
温度制御範囲:3~45℃(1℃単位、周囲温度5~30℃) 冷却・加温装置:ペルチェ素子モジュール |
温度設定範囲:室温+5~45℃ 設定温度:1℃単位 加熱装置:ヒーター |
| 設置・庫内 | 内容量:28L 外寸法:420×413×485mm |
外寸法:450×455×550mm | コンパクトタイプ 狭い場所への設置や持ち運びが可能 ケーブル孔あり |
収納容量:25L シャーレ(φ90×15mm)が約100枚収納 外寸法:345×445×477mm |
内容量:28L 外寸法:420×413×485mm |
| AXEL掲載の主用途・使用表現(要約) | サンプルの乾燥を防ぎ、振動の少ない環境での培養・保管。食品衛生検査、各種培養、タンパク質の結晶化。 | 庫内に温度センサー等のケーブルを通せる。 | 温度センサー等を入れての経時変化の記録可能。 | 庫内の5面から冷却・加温。 | 衛生検査・細菌検査。加熱タイプ・シンプル操作の簡易型インキュベーター |
各製品の用途と特徴の解説
上記の選定表でご紹介した各インキュベーターは、それぞれ異なる研究・実験ニーズに対応できるよう設計されています。-
AXEL品番 2-926-21「クールインキュベーター i-CUBE(HOT&COOL)」
このモデルは、ペルチェ素子による5面冷却・加熱方式を採用しており、サンプルの乾燥を防ぎながら、振動の少ない安定した環境での培養・保管に適しています。3~45℃の幅広い温度設定が可能で、食品衛生検査、各種培養、タンパク質の結晶化といった多様な用途に適しています。 -
AXEL品番 1-8963-01「クールインキュベーター」
3~45℃の温度範囲に対応し、ペルチェ素子モジュールによる冷却・加温を行います。プログラム機能とケーブル孔を備えているため、庫内に温度センサーなどを設置し、経時的なデータ記録が必要な実験に適しています。鍵付き二重扉は、サンプル保護や温度安定性にも寄与します。 -
AXEL品番 64-3679-40「P-BOX(小型インキュベーター)」
コンパクト設計で、狭いスペースへの設置や持ち運びを想定したモデルです。手動復帰型サーモスタットによる過熱防止機能も搭載しており、シンプルな操作で温度調節が可能です。ケーブル孔があるため、小型ながらも温度変化の記録が必要な場面で活躍します。 -
AXEL品番 1-6684-01「クールインキュベーター 3~45℃」
25Lの容量を持ち、シャーレ(φ90×15mm)が約100枚収納できるため、まとまった数のサンプルを扱う場合に便利です。自然対流方式とペルチェ素子モジュールによる5面冷却・加温で、庫内温度分布の安定化に寄与します。 -
AXEL品番 3-7056-01「カルチャーインキュベーター」
室温+5~45℃の温度設定が可能な加熱タイプのインキュベーターです。ヒーターによる5面加熱の自然対流方式を採用しており、温度管理が求められる衛生検査や細菌検査に適しています。デジタル設定で操作もシンプルな簡易型です。
まとめ:あなたに最適なインキュベーターを見つけるために
適したインキュベーター選びの最終チェックポイント
この記事では、インキュベーターの種類から選定のポイント、そして具体的な製品例まで、適した一台を見つけるための情報を提供してきました。最後に、あなたの研究や実験に最適なインキュベーターを選ぶための最終チェックポイントを再確認しましょう。まず、
「目的の明確化」
が最も重要です。どのような微生物や細胞を培養するのか、どのような物質を保管するのか、必要な温度範囲は何度かなど、具体的な要件を洗い出してください。次に、「設置環境の確認」
です。設置スペースや電源、周囲温度などを考慮し、無理なく設置できるサイズとタイプを選びましょう。そして、「予算とのバランス」
も忘れてはなりません。必要な機能を備えつつ、予算内で必要な機能と価格のバランスが取れた製品を選ぶことが賢明です。これらの要素を総合的に考慮し、この記事で解説したクールインキュベーターとカルチャーインキュベーターの特徴、さらに温度条件、庫内環境、容量、付加機能といった選定ポイントを照らし合わせることで、研究目的に適したインキュベーターが見つかるはずです。適したインキュベーターを選び、研究の効率化と精度向上を目指しましょう。












