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ケモセラピー・抗がん剤対策 抗がん剤曝露対策の進め方

がん化学療法は個人クリニックから大学病院まで、さまざまな医療機関で行われています。その一方で、抗がん剤曝露対策を行っていない、あるいはどのように行えばよいか分からないと悩まれている方も多いでしょう。がん化学療法を安全に実施するための抗がん剤曝露対策のポイントについて、がん化学療法看護認定看護師で、「看護師だからできる抗がん剤曝露対策」の著者である照井健太郎氏に伺いました。

調製から廃棄まですべての過程で「漏らさない」対策を

 抗がん剤曝露対策というと難しく考えがちですが、「曝露対策=抗がん剤を漏らさない対策」と考えると分かりやすくなります。抗がん剤の取り扱いには「調製」→「搬送」→「投与・患者ケア」→「廃棄」という一連の過程があります。そのすべての過程で「漏らさない」具体策を行うことが必要です。
 「調製」においては、2008年に日本病院薬剤師会により『注射剤・抗がん薬無菌調製ガイドライン』が策定されたことで、安全キャビネットでの調製が一般的になってきました。さらに、2012年の診療報酬で3剤の抗がん剤に無菌調製(無菌製剤処理)の加算がついたことで、「ファシール」などの閉鎖式調製器具が普及するなど、以前に比べ曝露対策が進んできました。
 一方、「投与」においては、認識の差によって対策が進んでいる病院と、そうでない病院の差が大きいのが現状でしょう。「薬剤師さんに調製を任せているから、私たちは大丈夫」と考える看護師も多いと思います。実際には、対策をとっていないと投与においても漏れることがあります。それを「少量だから大丈夫」と考えるか、人体に影響を与える薬剤だから「1滴も漏らさない」と考えるかによって、対策に差が出ていると感じます。

一連の過程すべてに曝露対策が必要です。

部署を超えて曝露対策のための意識を統一する

 具体的に曝露対策を進めるには、まず、現状の取り扱いのどこに問題があるかを把握することです。私が以前勤務していた病院では、ブラックライトに反応する薬剤を抗がん剤に見立てて、実際にスタッフに普段通りの投与作業を行ってもらい、どこで漏れているのかを可視化しました。それに基づいて漏らさないための独自の投与方法とその管理方法を考案しました。
 図の輸液ラインは、曝露対策のために私たちが考えた一例ですが、やり方は病院によってさまざまなものが考えられるでしょう。経済的な制約や人員の問題など、いろいろな困難があると思いますが、ボトルの抜き差し一つでも漏らさないという意識で取り組んでいけば、改善できるところはたくさんあると思います。
 私は、曝露対策の基本は調製業務と抗がん剤を取り扱うスタッフの意識の統一だと思います。調製業務はもっとも濃度が高い抗がん剤を取り扱う最初の業務で、もし漏れた薬剤がボトルの側面に付着していたら、次の搬送や投与に関わるスタッフに影響します。また、100人のうち1人でも誤まった取り扱いをしていると99人の努力が報われません。そのためにも、薬剤部と看護部など部署を超えて協力し対策を立ててほしいと思います。

抗がん剤投与後は必ず生理食塩水が投与されている

照井 健太郎 PROFILE

がん化学療法看護認定看護師。『看護師だからできる抗がん剤曝露対策』の著者。2008年、日本赤十字看護大学看護実践教育研究フロンティアセンター認定看護師教育課程修了。2009年、社団法人日本看護協会認定 がん化学療法看護認定看護師取得。2010・2011年、抗がん薬を安全に取り扱うため,抗がん剤の投与方法・個人防護具の使用基準など具体的な方法について検討する日本病院薬剤師会学術第7小委員会特別委員に選ばれる。現在は、抗がん剤の曝露対策の研修会、講演会などでも活躍している。

『看護師だからできる抗がん剤曝露対策』 照井健太郎 著・日総研出版・ 定価2,625円(税込)
『看護師だからできる抗がん剤曝露対策』 照井健太郎 著・日総研出版・ 定価2,625円(税込)

抗がん剤を漏らさないための5原則、5原則を守った「安全な投与法と回路の組み立て」など看護師だからできる抗がん剤曝露対策の具体例を紹介する。「持ち運べて便利な抗がん剤投与回路図パターンカード」も付いている。

※照井氏の写真以外の写真・図は照井健太郎氏の著書『看護師だからできる抗がん剤曝露対策』より

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